●モーニングの秘密●


一宮に来て驚いたのは、喫茶店の数が多いことです。我が家の周りには、
まだ田んぼや畑が結構あります。その中に昔からの農家の家と、新しく
移ってきた人の家が混在しています。
マンションやアパートは少なく、ほとんどが一戸建てです。そうした
人口密度が低い地域にもかかわらず、我が家の周囲、半径1kmの
範囲に、喫茶店が7〜8軒はあるでしょう。「これで経営は成り立つの
だろうか?」と、他人事ながら心配になります。
これだけでも驚きなのに、一宮市全体では、750軒くらいある、と聞いて
仰天しました。人口四十万弱の町に、この数字は『異常』ではないでしょうか?
また、テレビ等で、名古屋の喫茶店のモーニング・サービスはすごい! 
ということは聞いていました。実際に目の当たりにしてみると、これは本当にすごい!
コーヒー・トーストにゆで卵。このへんは普通です。そこにサラダ・ピーナッツ。
まだ驚きません。そこに、さらに各店独自の品がついてきます。バナナ・梅干・
まんじゅう・バームクーヘン・茶碗蒸し・焼ソバ・アイスクリーム etc……。
もうテーブルの上は、満漢全席! 朝からお腹一杯です。
まだあります。『和風モーニング』。うどん・お茶漬け・おにぎり・麦とろ……
といった和食とコーヒーの組み合わせ。いったい誰が最初に考えたんでしょうか?

ただし、一宮市でモーニングの話をする時には注意が必要です。
それは「名古屋のモーニング」と言ってはいけない、ということです。
関東の人間から見ると、愛知=名古屋というイメージで捉えてしまいがちです。
モーニングの話になると、こちらの人はかならずこう言います。
「そもそも、この『モーニング文化』は一宮が発祥の地である!」
昭和20年代から30年代にかけて、この辺りは繊維産業が盛んであった。町中に
大小の工場がひしめき合っていた。繊維関係の機会は音が大きい。工場の中や
事務所では、音がうるさくて商談ができない。そこで近所にある静かな喫茶店に
移動して、そこで話しをすることになる。そのため喫茶店が、あちこちに沢山
出来た。当然競争が激しくなり、各店がサービスを競うようになる。そこから
生まれたのが、現在のモーニングの原型である」
うーん、なるほど。説得力のアル話です。岐阜県出身者も同じ説を唱えていました。
場所が一宮じゃなく岐阜だったけど。


味噌と小麦粉の怪しい関係

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